こんにちは、古神道と風水の研究家ヒデです。
この記事の目次
1.山の磐座が日本庭園の原型・源流
前回は山を神籬(ひもろぎ)として頂上に磐座(いわくら)を置き、
神々を迎える場所にした、ということを書きました。
「神社の原型~天と地をつなぐ柱が、神籬や巨石の磐座~奥宮がある理由」
下の画像は、奈良県天河弁財天の磐座です。
①奥宮が本来の神社だったが…
山自体が神殿・神社なのです。
だから古い神社ほど山や丘の上にあります。
山の上に神社があるといちいち登って参拝するのは大変だからと、
ふもとに神社を作るようになります。
これが里宮や本宮・本社と呼ばれ、
山の上の神社は奥宮と呼ばれるようになります。
何千年もたつと、最初の形態であった磐座が、
何のためにつくられたのかが忘れ去られるようになります。
そのかわり鎮守の森という形で受け継がれます。
山にある磐座の存在は人々の記憶から消えても、
日本庭園の中には岩・石として形が受け継がれています。
②神々をお祀りした斎庭とは?
そもそも神籬と磐座は、神々をお祀りした庭でした。
これを斎庭(ゆにわ)と言います。
「斎(ゆ)」とは、清らかな・聖なるという意味です。
余談ですが、
日本語の一語一語には意味がありますが、
「ゆ」でまず思い浮かべるのは「湯」でしょう。
穢れ・氣枯れを祓う禊に使う水、これだけでも清らかですが、
さらに火のエネルギーを加わったのがお湯です。
お湯は風呂で汚れを落とし、疲れを癒してくれます。
温泉だと湯治というように病も直してくれます。
万病の原因は冷えにあるから、体を温めることで病気を予防・治癒する、
という温熱療法がありますが、風呂・温泉が効果的です。
「ゆ」で清めることで、体も心も元氣になる、のです。
東京に湯島という地名があります。
湯島天神・湯島天満宮で有名です。
学業成就・合格祈願の神社で、
たくさんの絵馬がかかっています。
これもお湯・温泉が出るから湯島なのではなく、
清らかな・聖なる場所ということで、「ゆしま」なのです。
③斎庭に由来する日本庭園の位置づけ
元に戻ります。
清浄を最も大事にして神々を祀る斎庭を源流・原型としたのが、日本庭園です。
そのためか、立ち入り禁止で外から眺める庭園も多いのです。
自由に庭に入って草花を採ったり寝転んだり…そのような場所ではありません。
それは西洋的な庭園です。
たとえば芝生は、人が遊んだり寝転んだり休憩するような場所です。
花壇も人が楽しむための場所です。
日本庭園は清らかなる・聖なる場所としての位置づけです。
家屋の中の床の間は聖なる場所の位置づけで、神が宿るところ。
それが外でいうと庭園なのです。
2.象徴する形に込めた心
①鳥居はどこの神社も同じではない~よく見ると違う形!
現在の神社にはいろいろな施設や飾り物があります。
神社には必ず鳥居がありますが、
神武天皇の八咫烏(ヤタガラス)とか金の鳶(とび)の説話にもあるように、
鳥は神様の使いであるとして信仰されています。
八咫烏とは、サッカー日本代表のトレードマークに描かれている、
三本足の烏です。
神武天皇を導いた、神の使いです。
鳥居には、
伊勢などの神明鳥居
明神鳥居
山王鳥居
三輪鳥居
両部鳥居
など種類がありますので、
神社に行かれた時はご覧ください。
余談ですが、サントリーは鳥井信治郎という人が創業しました。
はじめは寿屋という名前でしたが、
当時売り出した赤玉ポートワインの太陽にちなんで、
サントリーにしたとされます。
また
三輪の神様、これは大和国(奈良県)一宮の大神神社ですが、
ご神徳をいただきたいということでお参りに行かれました。
三輪の神様はお酒の神様でもあります。
三輪の三つ鳥居にちなんで、サントリーにしたという説もあります。
②注連縄と紙垂の意味~神話の時代にさかのぼる
鳥居や社殿にかけてある注連縄は、
古事記の天の岩戸神話に由来します。
岩屋にこもられた天照大御神が出られた後で、
もう入られないようにと注連縄を張った、これが起源です。
「しめる(閉める)」縄の意味です。
「神が占める」縄の意味もあるようです。
注連縄は藁(わら)でスパイラル状にします。
自然界にはスパイラルがたくさんあります。
高気圧・低気圧の風の動き、海の渦潮、
赤ちゃんのへその緒、DNA(遺伝子)など。
注連縄もこれに倣ったともされます。
イザナギ命・イザナミ命の神産みも回転・スパイラルですし。
注連縄のつけ方は、
向かって右側を元に(太いほう)、左側を末につけるのが、
一般の神社・天津神系のしきたりです。
家庭の神棚もこの通りにします。
国津神系の出雲大社などは正反対です。
注連縄には紙を四垂(よたれ)に切った紙垂(しで)をつけます。
これは雷・稲妻を表現しています。
カミナリは「神鳴り」で天・神からの啓示。
稲妻が鳴ると稲の生育が良くなるとのいわれで、
天からの恩恵・天と地をつなぐ、との意味合いです。
③鈴があるのはなぜ?
社殿の神前には鈴がかけてありますが、涼やかな音色をたてます。
神々をお迎えするのに涼やかな音色でお招きするために、
神社で掲げるようになりました。
金属音で魔を祓う意味もあります。
巫女さんが舞うときにも鈴を鳴らします。
江戸時代の国学者・本居宣長も、
勉強の時に眠気がさして来たら、
鈴の音で集中力を養って勉学に励んだといいます。
この鈴にも変わった形があります。
下の画像は奈良県天河弁財天での、
鈴をつないだものです。
鈴が同時に鳴り響き、共鳴します。
お守りもあります。
3.自然信仰はアニミズムと簡単に言えない
日本人は
縄文時代から大自然を神の働きとしてとらえ、
岩や木、山や海を拝むなど自然に対して信仰します。
これを、西洋人は迷信にとらわれた次元の低いアニミズムとして軽視します。
火を使うときは火の神様を拝む、水を使うときは水の神様を拝む、
日本人はそのような生活習慣でした。
火でも水でも大切に使うという自然に対する畏敬の念、
自然に対して傲慢になった現代人が見直す必要のある思想・意識だと思います。
これは自然保護とは違います。
「保護」という言葉は、強いものが弱いものを護るというニュアンスです。
そのため、強い人間が弱い自然を護る~そうなるのです。
しかし、
「人間の方が偉いから自然を保護してやる」というのでは、
人間の傲慢でしょう。
本来は人間の方が自然の恩恵を受けて保護されているのです。
●地球・大地の上で人間が生活できている
●雨や川などの水をいただいている
●太陽の光と熱で作物も育っている
●春夏秋冬それぞれの季節を楽しめる
●森がきれいな空気を供給してくれる
●森林や草花で癒される
●海が魚介類を育んでくれ人間に食料を与えてくれる
このように恩恵を与えてくださる自然を崇敬することが、
自然破壊が進む世界の意識を変えて、
子孫に豊かな地球を残すには必要だと思います。
日本人は
巨石や大木など大きなものだけではなく、
小さなものにも畏敬の念は向けられます。
梅や桜を花見し、生け花にし、月見をします。
鳥の声・虫の声にも耳を傾けます。
花鳥風月に対する慈しみの心が日本人の心です。
この自然をめでる心が、これからの世界に必要なのではないでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
幸せの大人婚カウンセラーの妻のブログも、よろしければご覧ください。
https://ameblo.jp/doggytomoko/entry-12461026883.html