【わかりやすい神道】細かい作法はなぜある?形の文化とは?

作法・形の文化について説明します。



なぜ日本文化は細かい作法が多いのか

日本は形の文化だと言われます。

心を整えることより、作法や動作など形に重きを置くということです。

茶道・武道・日本舞踊・詩吟などがありますが、

姿勢、足の進め方・歩き方、礼法、手指のそろえ方、帯の締め方、茶碗の持ち方、…

これらを徹底して教え込まれ、練習(稽古)します。

これは「形から入ると心もそのように変わっていく」という考えがあるからです。

心理学のNLPには、身体の動きが心を動かすという法則があります。

「笑顔になると、心もうれしくなってくる」のです。

下を向いて眉間にしわを寄せていると気分も落ち込んでいくが、

上を向いて笑顔でいると前向きの気分になるものです。

そのため、身体の姿勢・動作・表情により、心を整えていこうという手法です。

これと似ていませんか。

形(姿勢・動作など)から入ることで、茶道や武道の達人の心に落ち着いていく、のです。

また怒りや不安、悲しみを祓うために、運動など体を動かすことに集中するために、

行法を行うというやり方もあります。

息・声・振動、動きにより、心・魂を鎮めていくのです。

神社参拝の柏手などの作法も、落ち着くことができます。

特に日本人は感情をあまり出さないし言いたいことも言わないで、

内に感情がこもりやすいです。

落ち着く・鎮めるための手法が必要になるのでしょう。

なぜ祭りを行うのか

日本人の力の根源は祭り、と言われます。

祭りにより、神々そして他の参加者と一体になることができます。

さらに儀礼をやるから伝わる、毎日・毎年行うからわかってくるという点もあります。

文字・書物にしたら、読む人がいないと忘れ去られていきます。

1300年前に記された古事記も、1000年たった江戸時代にはすでに

読み方がわからなくなっていたそうです。

それを本居宣長が読み解いたのが『古事記伝』です。

文字の読み方や物語は伝承・口伝で伝えていけます。

作法・動作・衣装・建築は目に見える形でないと伝えていけません。

例えば、伊勢神宮は20年ごとの式年遷宮で、前と同じ建築様式で建てるために、

1300年前の古代の建築様式を今に伝えることができます。

石造とは違い、朽ちやすい木造では1300年前の建築様式は分からなかったかもしれません。

代々伝えて来たからこそ、古代の建築を今に伝えることができるのです。

それぞれの祭りの衣装や舞踊、神楽なども、儀礼・お祭りとして形として残しているから、

現代に伝わっています。

伝えていくために神社・祭りがあるとも言えます。

神もはたらく手本を見せている

だから「GODを信じなさい」という心が先ではなく、

神社や祭りなどの対象・形を通して神と一緒・一体になる考えになります。

祭りや神社をたてる、装束を作るなど、「はたらく」ことが

道(たどるべきこと)になります。

天照大神も天皇陛下も、機織りや田植え・稲刈りなど働きます。

神でさえも、はたらくのです。

伊勢神宮のように千年以上の歴史時間軸のもとで、形を通して伝えて来たということ。

その長い視点から見たら、一人一人の人間は無力な存在です。

そのため、私的・自分・我・個人という観点が出ないのでしょう。

おおやけ・伝統・伝承・先祖たち・みんな、という価値観が第一に出てきます。

「自分がやってやろう」ではなく、

やれることがあれば「やらせていただく」という発想になります。

宇宙のあらゆるものはもともと一つだった

宇宙・地球の成り立ちについてビッグバン説があります。

●球体の物体が大爆発(ビッグバン)を起こし宇宙ができた

●宇宙内のチリ・ガスが集まって太陽・地球ができた

●地球上で山・海ができた

●植物・動物が誕生した

の流れで、通説になっています。

これによると、我々の身体も山も海も動植物は、

もとは一つのビッグバンの元からできていることになります。

今見えている物質・原子は、原子核・電子が再構成して今はたまたま

岩になっている、木になっている、水になっているだけです。

我々の身体の細胞も、元は山や海や他の星だったかもしれません。

今はこの物質になっているという、ただ役割が違うだけです。

人体も、最初は受精卵から始まりました。

すべての細胞の起源はここで、細胞分裂し、

この細胞は透明な眼のレンズ、この細胞は黒髪の毛

この細胞は柔らかい皮膚、この細胞は固い骨

この細胞は脳神経、この細胞は心臓の筋肉

この細胞は毒素を分解する肝臓、この細胞は血液をろ過する腎臓

この細胞は酸素を運ぶ赤血球、これは細菌を殺す白血球、これは出血を止める血小板

など役割が違うだけで、もともとは同じ受精卵の遺伝子を持っています。

赤血球の中の遺伝子は、骨になるための遺伝情報も持っています。

今は、赤血球になる役割があるので、赤血球になっているというだけです。

古事記の神話にこれに似た物語があります。

①天御中主神(アメノミナカヌシ)が出現し

②高御産霊神(タカミムスビ)と神御産霊神(カムムスビ)

③次々と神々が生まれてくる

というのです。

①はビッグバンや受精卵

②は陰陽や雄雌・男女の区別

③は宇宙で星々が生まれる、細胞分裂する…と同じ光景

を表現しているように思えます。

細胞はどんどん入れ替わります。

ただ入れ替わるだけではなく

筋肉も感覚も使えば細胞は増えますが、使わないと細胞は減っていきます。

アポトーシスという原理で、

使われない細胞が「私は必要ないんですね、では、さようなら」と消えていきます。

あなたの体の細胞の原子・分子は、今たまたまあなたの体を構成しているだけで、

あなたの所有ではない、あなたの召使ではない、

感謝して大事に使ってあげないと、いなくなります。

マイナスなことばかり考えていると、がん細胞になってあなたに背いて牙をむきます。

だから身体は自分のものではないのです。

もともと善悪は存在しない

宇宙も地球ももともと同じ一つのもの(ビッグバン)から来たとしたら、

同じもの同士だから、善悪の区別もなくなります。

だから悪い(と思っている)ものをすべて捨てたら、何も残らなくなります。

もともと悪も罪(原罪)もなくて、人間が勝手に善悪を決めているだけです。

神々(世界中の神・仏を含みます)の考えは

「とにかく良くなれ、幸せ豊かであれ」です。

それに沿うようにすればよいのです。

・キリスト教はキリスト教の教えしかやらない

・仏教は仏教の教えしかやらない

・神道は神道のやり方しかやらない

しかし、神道でも仏教でも聖書でも、いろいろ学んで良いところを集めて

自分を磨いて活かせばいい、偏らないことだと思います。

心理メソッドとかもそうで、一つに固執せず、

自分に合うやり方を複数やってもいいのです。

例えば一日三食ともフランス料理だとキツイです。

しかし朝食は和風、昼食は中華、夕食はフランス料理、なら嬉しい。

平和・安定な世の中にするには?

宗教だと、

GODが人々に「言うことを聞いたら救済してやる」

そこから教義・戒律ができます。

信仰だと、

「きっとできる!」という自分を信じる心です。

全知全能で失敗しない・完璧だったら、他を許せない「なぜできないんだ!」

さらに自分を正義だと思っていたら、他を攻撃する・批判する、自己主張が激しいです。

規範・戒律がないと人間は易きに流れる・堕落するという考えの根底にあるのは、

人間を信用していない・人は未熟で自浄能力がないだろうという価値観です。

自分自身も信用していない、自分がダメだから他人もダメだろう、と思うのです。

相手を敵だと思う心があり、道徳に反するものを鞭打つ、

徳のない皇帝・国王は倒してよいという易姓革命の価値観からは、

安定・平和な世の中にはならないです。

どんな親でも大事にしなければならない、

どんな殿様も支えていくという価値観が必要です。

大国主命は高天原・天照大神に国譲りを行いましたが

天照大神の息子・天穂日命(アメノホヒノミコト)が初代出雲国造として

大国主命をお祀りしています。

勝った高天原が、負けた出雲を祀っている・仕えているように、

敵を倒すという発想ではありません。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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