言霊(ことだま)について書きました。
この記事の目次
1.言霊(ことだま)とはなにか?
言葉に宿る魂や力のことです。
具体的には
①言うことがそのまま実現する力→言葉を積極的に実現させること・パワー
②言葉の霊妙さ・美しさ・パワーをたたえたもの
③一語一語に宿ると考えられた言霊
です。
この言霊が意識と無意識に働きかけて実現を引き寄せると考えられます。
今から1300年前の奈良時代、すでに言霊信仰がありました。
万葉集には3つの歌が収録されています。
●「そらみつ 倭(やまと)の国は 皇神(すめがみ)の 厳(いつく)しき国
言霊の幸(さき)はふ国と 語り継ぎ 言ひ継がひけり 」(山上憶良)
意味:空に満ちる大和の国は、天皇の厳かに統治する国。
言霊の働きにより、幸福の国と語り継がれてきた。
●「言霊の 八十(やそ)の衢(ちまた)に 夕占(ゆうけ)問ふ
占(うら)正(まさ)に告(の)る 妹(いも)はあひ寄らむ (柿本人麻呂)
意味:言霊の行き交うちまたで、夕方に恋占いをした。
占いでは、彼女は私のもとに来てくれる、と。
●「磯城島(しきしま)の 日本(やまと)の国は 言霊の
幸(さきは)ふ国ぞ ま幸(さき)くありこそ (柿本人麻呂)」
意味:敷島の日本は言霊の力により幸福の生じる国。無事であってほしい。
2.言霊の種類(呪文)
どのようなものがあるか、列挙します。
呪文、祝詞、お経、マントラ(真言)、アファメーションなど。
それぞれ章を変えて解説します。
この章では呪文について解説します。
呪文は日常生活にも溶け込んでいるものもあります。
「痛いの痛いの飛んでいけ」も呪文・言霊の一種です。
忌み言葉、呪詛(じゅそ)、言挙げ(ことあげ)もこれにあたります。
①忌み言葉(いみことば)
言葉に力が宿るという考えから、縁起を担いで、使うのを避ける言葉があります。
・結婚式:切る・返す・終わる・去る・失う等→めでたいことが切れてしまうのは困る
縁起を担ぐため祝儀袋の水引は、結び切りまたはあわじ結びが使われます。
結び切りは、一度結ぶとほどけない結び方で「人生に一度きりの結婚」を象徴。
また両端を引っ張ると強く結ばれることから・「末永く結ばれる」意味も。
・葬儀:再び・次に・重ねて等→再び起きてほしくないから
・受験:落ちる・滑る・転ぶ等
・マンションやアパートの部屋番号:4号室(死)、9号室(苦労)
・定食などの漬物:二切れ(一切れは人を切れ、三切れは身切れで縁起が悪い)
②呪詛(じゅそ)
呪う言葉であり、具体的な言葉を紹介することは控えます。
③言挙げ(ことあげ)
ことさら言葉に出して言い立てることです。
良くないこととされています。
万葉集では、
「葦原(あしはら)の 瑞穂(みずほ)の国は 神ながら 言挙げせぬ国」
としています。
この理由は多々ありますが、言挙げにより誤解やトラブルを避ける点もあるでしょう。
3.言霊の種類(祝詞)
神徳をたたえ、崇敬の意を表する内容を奏上することです。
神の御加護・御利益を得ようとするものです。
①祓い(はらい)
神社で御祈祷(昇殿参拝・正式参拝)をする際にお祓いを受けます。(修祓:しゅばつ)
この祓詞(はらえことば)も祝詞ですが、
神職は本殿正面ではなく祓串という紙垂(しで)に向かって奏上します。
祓串を振ってお祓いをしますが、祓戸の神様に祓っていただくもので、
その神社の御祭神への祝詞ではありません。
②祝詞奏上
お祓いを受けた後に正面の御祭神(例えば氷川神社なら氷川の神様)に向かって、
神職が「住所△△の氏名〇〇、家内安全」などと祝詞奏上します。
③略拝詞
簡単な祝詞を紹介します。
お祓いください、お清めください、お守りください、幸福でありますように、との意味です。
「祓え給へ 清め給へ 神ながら守り給へ 幸(さき)わへ給へ」
4.言霊の種類(お経)
陀羅尼(だらに)、漢字に訳されたお経、日本語の和讃、の三種があります。
有名なものは、般若心経、十句観音経などです。
5.言霊の種類(マントラ)
インドのサンスクリット語による言霊です。
①光明真言
真言宗でよく唱えられます。
「オン アボキャベイロシャノウ
マカボダラ マニ ハンドマ ジンバラ ハラバリタヤ ウン」
次の不動明王真言もよく唱えられます。
「ノウマクサンマンダ バザラダンセンダ マアカロシャダ
ソワタヤ ウンタラタ カンマン」
②三蔵マントラ
弘法大師空海の師匠の師匠、善無畏三蔵(ぜんむいさんぞう)が作ったマントラ。
「オンシュダシュダ」
これを三回唱えて1セット。3セット唱えます。
ネガティブエネルギーを跳ね飛ばしリフレッシュしてくれます。
③ハルチ ウムチ ツヅチ
日本古来からあるパワーコールで、以下を三回唱えます。
「ハルチ ウムチ ツヅチ」
④ガーヤトリーマントラ
インドのヒンズー教で最も強力と言われるマントラです。
「オーム ブルブヴァスヴァハ タサヴィトゥル ヴァレンニャム バルゴ デヴァシャ
ディマヒ ディヨーヨーナ プラチョーダヤ」
6.言霊の種類(アファメーション)
アファメーションとは、何度も唱えて自分の潜在意識に聞かせることで、
それまでの潜在意識を変えて願いを受け取れる自分になるための言霊です。
アファメーション例です。
①お金
お金を受け入れる準備ができていることを表明します。
●「お金は素晴らしいものです」→お金は汚いと思っていたらお金は入ってこない
●「私は裕福です」→すでに恵まれているから、これがこの後も継続するという暗示
●「お金を手にする権利がある」「素晴らしいお金持ちである」
②自己肯定感
●「自分を愛しています」「自分が大事です」
●「人生を愛しています、素晴らしい人生です」
●「幸せ・豊かで満足しています」
●「必要なものは良いタイミングで与えられています」
③健康
●「私の〇〇(身体の部位、例えば足)、いつも身体を支えてくれて、ありがとう!」
●「いつも健康で、これまでも・これからも、ずっと健康です」
7.呪文との付き合い方
最低3か月練習してみましょう。
声に出すことで、目(視覚)・口(触覚)・耳(聴覚)を刺激し、
潜在意識に入りやすくなります。
全部試したが「どこが・どれがいいか分からない」でもいいです。
祝詞・お経・マントラは、
千年以上にわたって多くの修行者たちによって「試されてきた」のです。
霊力があると信じていただきたいです。
8.日本語という有利な呪文
日本語は呪文を使ううえで有利な言語です。
①表音文字(かな・カナ)がある
→発音表記が楽。漢字のみの中国語では表記が難しい。
②48音は母音もしっかり発音される
→k音でも、国(kuni)は母音uをはっきり発音するのに対し、
行く(ik)は母音uは入れないで発音することが多いから、
外国語の発音も再現しやすい。
③外国語の読み方も積極的に取り入れる柔軟性
→漢字にも複数の読み方があり、それぞれの渡来人に対応すべく取り入れたと思われる。
「ん・ン」発音はもともと日本語になかったが、
マントラ・真言の「オン」「ウン」を発音するため弘法大師空海が追加した。
以上です。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。