【季節の語源】1月下旬が最も寒いのに、なぜ正月を新春というのか

季節の名称と実際の気候についてまとめました。



1.なぜ正月を新春という

冬至(12月22日ごろ)を過ぎて正月になり、

小寒(1月6日ごろ)・大寒(1月21日ごろ)と、

正月過ぎてから1月末にかけてが最も寒い時期です。

それなのになぜ新春というのでしょう?

①旧暦では一月遅れになる

旧暦は新暦より約一月遅れるので、立春(暦ではここからが春になる)のころ、

新暦2月4日あたりが旧暦の正月・元旦になります。

そのため寒さが底を打ち暖かくなり始める時期が、旧暦の正月あたりであり、

だから「新春」というのです。

梅が咲き始めるので、松竹梅が勢ぞろい、門松にも赤い梅が飾られます。

②正月の歳神(年神・歳徳神)は春・稲の神様

寒さが緩み暖かくなる新春に迎えるため春の神様です。

稲作を始められることを知らせてくれる点で稲の神様でもあります。

正月がめでたい理由は複数ありますが、

稲の豊作を祈ると同時に、(秋に)豊作になったことを祝う予祝でもあります。

また人間の生命を養う稲・米は生命力・魂でもあり、そのため正月は「めでたい」のです。

③正月に年齢を一つカウントアップ(数え年)

生命力・魂が再生されるため、かつて数え年で年齢を数えていましたが、

みんな正月に一歳年を取るのです。

満年齢と数え年の違いは、誕生日が2020年4月1日の人を例にします。

●満年齢によると、生まれた時点で0歳で、2021年4月1日に1歳になります。

●数え年によると、生まれた時点で1歳であり、2021年1月1日に2歳になります。

生まれた時点で1歳なのは、母親のおなかの中に十月十日(とつきとおか)おり、

これが約1年だからです。

2.春の語源は、芽が張る・ハレの季節

春の語源は諸説ありますが、

土の中から草木の芽が出てくる、木の幹から花のつぼみが膨らんで張る、

から「春」というようになったといわれます。

英語のspringも元々「跳ね上がる」の意味でしたが「バネ」が加わり、

泉・温泉(hot spring)、そして芽が吹きだす時期の「春」の意味も追加されたといいます。

さらに祭りの日を晴れやかの「ハレ」の日とも言うように、

冬から解放され「晴れやかな気持ちになる」から春の語源と言われます。

祭りの日をハレの日といい、その日に着る着物を「晴れ着」といいます。

そのため正月に着る着物は「晴れ着」なのです。

3.夏の語源は、「あつ!」?

諸説あり定かではありません。

暑い(あつい)・熱(ねつ)が「なつ」になまったとする説。

古語の「泥む(なづむ)」(停滞する・悩む・苦しむ)がなつに転化したとする説。

田植えを行い、祭りも多く行われることから、田の神と人の魂が懐く(なつく)からとの説。

ちなみに英語でsummerの語源は、サンスクリット語のsama「半年」に由来するとの説

(一年を暑い時期と寒い時期に分ける考え方でしょうか~インドの乾季と雨季)。

「mu=mmer=水」が「s=su=断ち切られる」時期から干ばつの時期との説。

4.秋の語源は、空が開き・収穫が飽き

夏の入道雲が消え天高く「開く(あく)」、収穫が「飽き満ちる」が語源と言われます。

英語では、fall(葉が落ちる)、autumn(収穫する)が語源とされます。

5.冬の語源は、冷える・震える・殖える

冬の語源も諸説あり、「冷(ひゆ)」寒さが「振(ふる)う」、寒さに「震(ふる)う」、

生き物が増殖する・力を蓄える「殖(ふ)ゆる」などがあります。

英語のwinterは、湿った季節を表す古代ゲルマン語wintraからきており、

wet(湿った)やwater(水)、wash(洗う)など、水にかかわる単語は同じ系統のようです。

6.旧暦と新暦の違いについて

旧暦(太陽太陰暦・太陰太陽暦)は、月(地球の周りを29.5日で一周)を基準にします。

29.5日と半端な日数のため、一か月を30日の大の月と29日の小の月で暦を作ります。

大の月:30日×6か月=180日

小の月:29日×6か月=174日

合計354日となりますが、

実際の一年(地球が太陽を一周する365.24日)と11日も差があります。

暦と季節にずれが生じるため、2,3年に一度うるう月を設け、一年が13か月になります。

月を基準にするため、

1日は新月(真っ黒で見えない月)、15日は満月(十五夜)、

その間の8日は上弦の月(右側が明るい半月)、24日は下弦の月(左側が明るい半月)

となり、暦・カレンダーがなくても月の形を見れば日にちがわかります。

7.12か月の名称の由来

①1月~睦月(むつき)

親戚一同が集まり、睦び(親しむ)

②2月~如月(きさらぎ)

寒さが残っているため、着物を更に着るに由来する(衣更着)との説。

木がさらに伸び始める(生更木)との説。

気候がさらに暖かくなっていく(気更来)との説。

③3月~弥生(やよい)

弥(いよいよ)、生(草木が生い茂る)に由来するとの説。

④4月~卯月(うづき)

卯の花が咲く季節だからとの説。

稲の苗を植える月だからとの説。

⑤5月~皐月(さつき)

早苗(さなえ)を植える月だからとの説。

耕作を意味する「さ」から来たとの説。

⑥6月~水無月(みなづき)

梅雨の時期で水田に水が多くあるため、「水の月」となったという説。

「無」は「の」の意味で、「無し」の意味ではない、とされます。

⑦7月~文月(ふみづき・ふづき)

七夕で短冊に歌や文字を書くことに由来するとの説。

稲穂が膨らむので「稲含月」となったとの説。

稲穂のふくらみを見る「穂見月」となったとの説。

⑧8月~葉月(はづき)

旧暦の8月は新暦の9月で秋に当たります。

葉が落ちる月だからとの説。

稲穂が張るので稲張り月

⑨9月~長月(ながづき)

秋の夜長だからとの説。

雨が多く降る「長雨月」が略されたとの説。

⑩10月~神無月(かんなづき)

神を祭る月だからとの説。「無」は「の」の意味。

新米でお酒を醸す(かもす)月だからとの説。

⑪11月~霜月(しもつき)

霜が降る「霜降り月」が略されたとの説。

⑫12月~師走(しわす)

師が走り回るほど忙しいからと言われます。

「師」とは、僧侶や寺社に参詣する人を世話する御師、教師のことを言うとされます。

また「年が果つる」が「しはつ」→「しわす」になったとの説もあります。

以上です。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。



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