【わかりやすい神道】日本人が知っておくべき、日本の特殊性

日本人・日本文化の珍しさを列挙しました。

この記事の目次




1.枯れる・死を尊重

世界では生き生き、光輝くなどを尊重します。

しかし日本ではそれもありますが、対極も尊重します。

わびさび、という言葉があります。

侘び:貧相・不足な中に心の充足を満たそうとする

寂び:閑寂さの中に奥深いものや豊かなものがおのずと感じられる美しさ

桜も咲いているのは1週間程度という短さで、パラパラと散ります。

日本の代表的な花となったのは平安時代からだそうです。

枯山水も水がない枯れた庭園で美を表現します。

備前焼・信楽焼などは土の色のままです。

装飾しません。

いびつで不完全に作られた陶器がすばらしいと考えます。

花一輪だけとか。

豪華な壺に色とりどりの花がたくさん、とはしないのです。

しなびた木造建築も味わいめでます。

20年に一度取り壊す伊勢神宮(式年遷宮)も、死と再生を表します。

美とは、はかなさのことです。

神話でも、美しいが短命のコノハナサクヤヒメ、

醜いが長命のイワナガヒメ、

で表されています。




2.老は神に近い

伝統の芸能に能楽があります。

室町時代が発祥です。

もともとは神社の前で行っていたそうで、

能舞台の背景に松が描かれているのは、松は神が宿る木とされているからです。

神社なので神がかりしたシテ(主役)が演じます。

そのため能楽のシテ(主役)は仮面をつけるが、ワキ(脇役)はつけません。

能面にはいろいろあります。

女性の般若やひょっとこなど。

中でも翁(おきな)面は格式高いとされます。

なぜか?

老いることは神に近づくことです。

それを表現しているからです。

あの世は神の世界であり、それに近づいているからです。

またこの世でいろいろな見聞・経験もしてきたでしょう。

その点で若い者たちより先を行っている…そのため老人や翁は上とされるのです。

これが日本では老人を敬う伝統につながります。




3.自然に力で向き合わない

日本は自然災害が多いです。

水の災害への対応を挙げます。

山梨県に戦国時代の武将、武田信玄が築いた信玄堤があります。

信玄堤は現代の堤防と何が違うか?

現代の堤防は、水の力を上回る堤防の力で抑え込む、という考えです。

力と力のぶつかり合い、力が強いほうが勝つから、堤防を強くするのです。

ところが信玄堤は、川の勢いをそぐ、という考えで作られています。

そもそも御勅使川と釜無川という2つの川が合流する地点で信玄堤を作っています。

現代の堤防では、2つの川が合流すると水の力が大きくなるので、

それを上回るだけの大きな堤防を作らなければならないです。

しかし信玄堤では、上の写真のようにあまり大きくないです。

というより、あまり大きなことをやっていないようです。

信玄がやったことは、

●御勅使川をまっすぐにし、流れを2つに分けて、

本流を釜無川と高岩にぶつけて勢いをそいだ

⇒水と水をぶつけて、勢いを弱めようとしています

●石の突起により流れのスピードを弱めた

⇒最初は速い流れでも徐々に遅くなっていきます

●川の流れをまっすぐにして流れやすくした

⇒遅くなった水は停滞しやすくあふれる原因となるので、流れやすく

●川の水がいっぱいになれば、

開口部からあえて水をあふれさせて堤防を決壊させないようにした

⇒現代のように水一滴もあふれさせない発想ではなく、多少はあふれさせます

鎌倉の和賀江島も例で挙げます。

鎌倉の沖合は相模湾(太平洋)の荒波で船を停泊できないため、1232年に作られました。

水面上にようやく除く程度の標高です。

石を奥行き10メートルに敷き詰めて、波をこれにぶつけて徐々に勢いをそいでいきます。

勢いのある波も、10メートルも石にぶつかり続けると弱まります。




4.道を作り上げていく

柔道・剣道・茶道・華道など「道」のつく精神修養があります。

術(テクニック)の習得にとどまりません。

他国は術で止まりがちですが、日本は道にまで踏み込むのです。

私も茶道の稽古をしていたことがありますが、稽古を続けることにより、

そのルーティンに入るだけで心が落ち着きます。

野球のイチロー選手やラグビーの五郎丸選手も、

集中するときに特有のルーティンをとります。

作法は、回りくどいと思われがちですが、心を落ち着かせるためのものです。

神社参拝の時にも作法がありますが、

心を澄み切らせて神様に向かうようにとのルーティンなのです。

このような稽古を続けていくことで、平常心・動じない心を養います。

スポーツでは、成績を上げるために・緊張しないようになるために、

メンタルトレーニングに通ったりするそうです。

「道」では稽古自体がメンタルトレーニングなのです。

あるスポーツの指導者の話が興味深かったので、挙げます。

「雑巾がけ・掃除などどんどんやって忍耐を身につけることで、強い人間・選手になる。

テクニックを教えれば上手い選手になるが、強い選手にはならない。」




5.自然をめでる

日本人は虫の音など自然音を解します。

西洋人は騒音としか感じられないそうです。

俳句・短歌に自然の移ろいを盛り込み、

もののあはれ(物の哀れ)、しみじみとした的な哀愁情緒、無常観を追求します。




6.全力で尽くす

「尽くす」という性質があります。

全力を尽くす、誠を尽くす、○○のために尽くす、…など。

●世界最大面積の大仙古墳(仁徳天皇陵)は、エジプトのクフ王のピラミッドの面積の約2倍

手掘りで土を掘って盛り上げて、河原から石を運び吹石にし、埴輪も並べたのです。

●世界最大の木造建築、東大寺大仏殿は、現在のは江戸時代の建築ですが、

奈良時代のは1.5倍の大きさ

●戦国時代、鉄砲が伝来したらあっという間に真似して作り上げ、

世界の火縄銃の半数が日本にあった

●浮世絵や書物の印刷技術~ほかの色の版木とピッタリ合うように印刷していく

●からくり人形

●明治維新で数十年で欧米列強に肩を並べる国力

●敗戦で焼け野原になっても20年足らずで世界最速の新幹線、高層ビル

最後までお読みいただき、ありがとうございました。




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