『孫子』部下を愛していたわる・かわいがる&部下をどう動かすか

こんにちは、古神道と東洋思想、兵法の研究家ヒデです。



「将軍が兵士を治めていくのに、

兵士たちを赤ん坊のように見て、万事に気をつけていたわっていくと、

兵士たちは将軍に従い深い谷底のような危険な場所にも行くのである。

兵士たちをかわいいわが子のように見て深い愛情で接していくと、

兵士たちは将軍とともに生死を共にするのである。

だが、愛していたわるのはよいとして、

手厚くするばかりで思うように働かせることができず、

かわいがるばかりで命令に従わせることもできず、

勝手なことをしてもそれを制止することもできないのでは、

わがままな子供のようなもので、物の用には立たない。」

(第十 地形篇)

『孫子』と並び称される兵法書『呉子』の著者とされる呉起は、

一兵士のできものに自ら口をあてて膿を吸い出してやったそうです。

愛情深い親のような心づかいを見せることによって、

兵士の気持ちをつかみ、死をも顧みなくさせたのです。

劉備は諸葛孔明を三回もスカウトに訪れて、仕えさせた例もあります。

(守屋淳『最強の孫子』日本実業出版社 を参考)

『呉氏』の著者といわれる呉起は「人の和」を何よりも大切にしています。

また指導者が人を使うには、まず人の信頼を獲得しなければならないという点は

孫子・呉子に共通しています。

(立間祥介『中国の人と思想 孫子』集英社 を参考)

「古来、国家を治めようとする者は、

…人民との結びつきを強化した。団結がなければ戦うことはできない。

…人民を動員しようとする前に、まずその団結をはかり、

それからはじめて戦争を決行する。

…自分だけの思いつきによってはならない。

かならず祖先の霊に報告し、

亀甲を焼いて吉凶を占い、天の時を得ているかを考え、

すべてが吉と決してから、はじめて出兵する。

こうすれば、人民は君主がこんなにも自分たちの生命を大事にしてくれるのだと

身にしみて感じるに違いない。

そのうえでともに困難に望めば、彼らは進んで死ぬことを栄光とし、

退却して生き残ることを恥辱とするであろう」(『呉子』図国篇)

「威・徳・仁・勇をわが身に備えていることが肝要である。

これらによって部下を統率し、人民を安心させ、敵をおののかせ、

問題が生じても的確な判断を下すことができる。」(『呉子』論将篇)

(村山孚『中国の思想 孫子・呉子』徳間書店 より)

昔と違い、人と人の関係が希薄になりつつあり、

なかなかリーダー・上司を信頼しないかもしれません。

しかし希薄になっているからこそ、

逆に愛情をもって接してくれる人は貴重で、輝いてみえます。

その点で、現代でも通用すると思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。



シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする