【古事記】冒頭の神世七代は名前の羅列だが、どんな意味があるのか

古事記の冒頭に神世七代の神々の名前を羅列しています。

それ以後は、神が何々を行ったと物語になっているのに、

神世七代では物語となっておりません。

どんな意味があるのか、以下解説します。

なお、大筋の内容は、吉野敏明氏の解説を参考にしております。



日本語のアイウエオは意味を持つ

中国語の漢字一つ一つは意味を持つ表意文字、

アルファベット(ローマ字:ABC)は発音だけを表す表音文字と言われています。

日本語のアイウエオ(ひらがな・カタカナ)も表音文字だと言われています。

しかし以下のようにそれぞれ意味を持ちます。

アイウエオ

ア:あらわれる、会う、頭、天(あめ・あま)のように、「始まる」の意味

イ:息、命、生きる、意味する

ウ:産む、生まれる

エ:得る、恵(めぐみ)、栄える

オ:雄々しい、男

東西南北

東:ヒ(日・太陽)のカシラ(頭)が出てくる(日の出)だからヒガシ

南:太陽の高度が最も高くなって皆が見えるからミナミ、南を向くように建築する

西:鳥居の朱色は丹(に)色とも言い、夕焼けの色で沈むからニシ

北:北極星・北極の磁極線により「氣」が貯まる方角だからキタ

ヤマト

ヤ:八百万の神々、神聖な、神々

マ:間、まつる、まとまる

ト:とどまる、所

以上から、ヤマトは、神々を祀る・まとめる所・国を意味することになります。

次に古事記本文の冒頭に入ります。

造化三神はビッグバン(宇宙誕生)

「天地(あめつち)初めてひらけしとき

高天原に成れる神の名は天之御中主神(アメノミナカヌシ)。

次に高御産巣日神(タカミムスヒ)。次に神産巣日神(カミムスヒ)。

この三柱の神は、みな独神(ひとりがみ)と成りまして、身を隠したひき。」

天之御中主神(アメノミナカヌシ)はビッグバン

一音一義で調べていきます。

ア:始まり

メ:芽生える

ノ:~の

ミ:中身

ナ:一緒になる(仲間)

カ:エネルギーを限る、固まる

ヌ:一様に塗る、布のように広がる

シ:占める、統(す)べる

これらをまとめると以下のようになります。

●始まりに芽生えた(発生した)

●その中身は様々なエネルギーが限られ一緒にして閉じ込めているものである

●それが一様に広がり、宇宙空間を占めた

ということで、ビッグバンを意味します。

神の一音一義は

カ:限ったエネルギー

ミ:中身

ということで、エネルギー状態を意味します。

高天原(タカアマハラ)について

タ:たくさん

カ:限った強いエネルギー

ア:始まり

マ:間

ハ:波動

ラ:繰り返す

たくさんのエネルギー波動が繰り返されている、宇宙空間を示します。

高御産巣日神(タカミムスヒ)神産巣日神(カミムスヒ)

一音一義を調べます。

タ:たくさん

カ:限った強いエネルギー

ミ:中身

ム:生む・産む

ス:素のまま、スーと出る

ヒ:日・霊

カミムスヒは、強いエネルギーの霊をスーと出すことで、

タカミムスヒはタがついているので+(陽)、カミムスヒはついていないので-(陰)

ビッグバン時に陰陽、+-電荷などが出現したということになります。

「この三柱の神は、みな独神(ひとりがみ)と成りまして、身を隠したひき。」

とありますが、

ビッグバンは一瞬で終わるため、これらの神々(状態)は存在していないと考えられます。

素粒子と星々の誕生

「次に国わかく浮きし脂のごとくして、クラゲなす漂へる時、

葦カビのごとく萌えあがるものによりて成れる神の名は、

宇摩志阿斯訶備比古遲神(ウマシアシカビヒコヂ)。

次に天之常立神(アメノトコタチ)。

この二柱の神もまた、独神と成りまして、身を隠したまひき。

上の件の五柱の神は、別天つ神。」

宇摩志阿斯訶備比古遲神(ウマシアシカビヒコヂ)

ウ:生まれる

マ:間、まとめる

シ:占める

ア:始まり

シ:占める

カ:限ったエネルギー

ビ:火

ヒ:霊

コ:固まる

ヂ:示す

素粒子が誕生したことを意味します。

天之常立神(アメノトコタチ)

ア:始まり

メ:芽生える

ノ:~の

ト:所

コ:込める

タ:たくさん

チ:ちから

たくさんの物質を込めて星が出来上がった

トコタチ(常立)で恒常的にできたという意味

地球誕生

「次に成れる神の名は、国之常立神(クニノトコタチ)。

次に豊雲野神(トヨクモノ)。

この二柱の神もまた、独神と成りまして、身を隠したまひき。」

国之常立神(クニノトコタチ)

ク:組む

ニ:煮える

地球は溶岩が表面を覆っている状態です。

豊雲野神(トヨクモノ)

ト:所

ヨ:世、充満

ク:組む

モ:盛る・膨らみ

ノ:~の

漢字では雲と野が豊かと書き、

溶岩でおおわれた表面が冷え固まって、水蒸気から雲ができ、雨が降って海ができた、

野(陸地)もできたことを表します。

生命誕生

「次に成れる神の名は、宇比地邇神(ウヒヂコ)、次に妹須比智邇神(イモスヒヂコ)。

次に角杙神(ツノグヒ)、次に妹活杙神(イモイクグヒ)。

次に意富斗能地神(オホトノヂ)、次に妹大斗乃辨神(イモオホトノベ)。

次に於母陀流神(オモダル)、次に妹阿夜訶志古泥神(イモアヤカシコネ)。

次に伊邪那岐神(イザナキ)。次に妹伊邪那美神(イモイザナミ)。

上の件の国之常立神以下、伊邪那美神より前を、神世七代といふ。」

宇比地邇神(ウヒヂコ)、妹須比智邇神(イモスヒヂコ)

ウ:生む

ヒ:霊

ヂ:地

コ:込められている

→ 泥の中には生き物が多く、泥を意味します。

イ:息、命、生きる

モ:盛り上がる → イモは女性・陰を意味する

ス:スーとしている砂

ヒ:霊

ヂ:地

コ:込められている

海など水中で受精する生物(イソギンチャクや、魚類、両生類まで)は、

オスとメスがそれぞれ精子と卵子を放出し、卵に受精を行います。

砂と泥の海底なので、水中を漂う方を泥(精子)、漂わない方を砂(卵子)です。

そして雄と雌を意味します。

角杙神(ツノグヒ)、妹活杙神(イモイクグヒ)

ツ:つなぐ

ノ:~の

グ:組む

ヒ:霊

イモ:女性

イ:いのち

ク:組む

グ:組む

ヒ:霊

爬虫類以降は陸上で卵を産むが、陸上で精子と卵子を放出すると、乾燥してしまいます。

そこで、オスが生殖器(角)をメスの体内に差し込むことで、

メスの体内で受精させ子孫を作ります。(活)

つまり、角は男性生殖器、活はそれを活かす女性生殖器を意味します。

意富斗能地神(オホトノヂ)、妹大斗乃辨神(イモオホトノベ)

オホトの

ホ:穂のように膨れる

ト:所

なので、陰部を意味します。

ノ:~の

ヂ:男性生殖器・陰茎

イモ

オホト

ベ:女性生殖器・陰唇

トカゲ類は生殖器が2つずつだが、これが一つになったことを意味します。

於母陀流神(オモダル)・妹阿夜訶志古泥神(イモアヤカシコネ)

オモ:見た目

ダル:満ち足りている

イモ:女性

アヤカシコネ:なんとも恐れ多い

オスは身体・筋肉が大きく強くて妻子を守るに十分な体になり、

メスはお腹で子どもを育てるようになったことを意味します。

伊邪那岐神(イザナキ)・妹伊邪那美神(イモイザナミ)

イ:いのち・意味

ザ:清める、続ける

イザ:誘う、国づくりをしていこう

ナ:仲間だ一緒に

キ:男

ミ:女

ここからは意思のある人格神になります。

神生み

大八島の国生み

氷河期は海水面が今から150メートルも低く(2万年前)、

本州・四国・九州・中国大陸と陸続きだったそうです。

それが温暖化により氷河が解けて海水が増えて、(縄文海進)、

海水面が今より20メートルも上昇(紀元前4000年、今から6000年前)。

低地に海水が流れ込み例えば瀬戸内海が現れ、山だったところが島になりました。

四国・九州・壱岐・対馬・隠岐・佐渡などの島ができました。

これが国生みです。

神々を生む

縄文海進により瀬戸内海ができるなど海ができて、

海の神、大綿津見神(オオワタツミ)を生みました。

河口もできたので水戸神(ミナト)など水の神々も生みました。

残った陸地は石土毘古神(イハツチビコ)です。

陸地の高いところは山の神、大山津見神です。

縄文時代は暖かく植物もたくさん生い茂り、木の神久久能智神(ククノチ)が生まれました。

山でないところは野の神、野椎神(ノヅチ)です。

海の上を渡ってくる風の神、支那都比古神(シナツヒコ)、

食物の神、大宜都比賣神(オオゲツヒメ)も生み、

最後に火の神、火之迦具土神(ヒノカグツチ)を生んだ際に陰部を焼かれて

イザナミ神は亡くなります。

この点について吉野氏は、火の神より前は夫婦で神生みを行ったが、

火の神は陰部(産道)を通っていることから、肉体で妊娠してできた神であり、

これを人類が「火を発明した」と解釈しています。

黄泉の国

イザナギ神は亡くなった妻に会いたく、死者の国(黄泉の国)へ行きます。

生きている人は死者の国へ行ってはならないとされています。

そして見ないでと言われている、腐っている妻の身体を見てしまいます。

死体を「見てはならない」ので、埋葬します。

亡くなった人のエネルギーは残っているので、祭祀が始まります。

穢(けが)れたイザナギ神は、禊(みそぎ)によって穢れを祓います。

ここで清め・祓いの思想が出ます。

悪事を働いても・罪を犯しても・失敗しても、

反省し清め禊祓いを行えば、許される・元の共同体に戻れるという考えになります。

世界中の人たちには、この許すという考えが薄いようです。

ユダヤ教・キリスト教・イスラム教のもとになっている旧約聖書では

アダムとイブが禁断の果実を食べるという罪を犯し、エデンの園から追放されました。

その子孫の人間たちは、自分たちが犯したわけでないにもかかわらず、

人間が生まれながらに背負っている原罪があることになり、

労働や出産の苦しみを味合わなければならないことになっています。

GODは人間たちを許していないようです。

米国人も「リメンバー・パールハーバー」と今も許していません。

中国人・韓国人も、許すのが希薄のようです。

日本人は禊のように「水に流す」と許しますが、世界の中では特殊のようです。

三貴神の意味

イザナギ神は最後に三貴神を生みます。

左の目を洗うと天照大神、右の目を洗うと月読命、鼻を洗うと建速須佐之男命。

北を背にして南を向くと、左側が東になります。

ヒ(日・火)がタリ(足りている)、

あるいは、タ(たくさん・何度も)、リ(繰り返す・流れ):毎日日の出の繰り返し、です。

そのため左目は天照大神になります。

左と対になるのは右で、太陽と対になるのは月です。

また日・火と対になるのは水で、潮の満ち引き・月経を引き起こすのは月なので、

右目は月読命になります。

月の満ち欠けと太陽の位置により季節や日にちがわかるので、

暦ができたことを示すと思われます。

鼻は息(風)が出入りする箇所であるため、海原や航海を意味すると考えられます。

イザナキ神から「海原を治めろ」と言われたのは、そういう意味だと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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