『孫子』やってはならないこと~だらだら長引かせるな!

こんにちは、古神道と東洋思想、兵学の研究家ヒデです。

戦い・争い・競争にはスピードが大事だという話です。



「久しければ則ち兵を鈍らせ鋭を挫く。

兵は拙速なるを聞くも、未だ巧久なるをみざるなり。

兵久しくして国の利するものは未だこれ有らざるなり。」(第二 作戦篇)

戦いを長引かせると軍を疲弊させ鋭気をくじくことになる。

戦争には拙速(まずくともすばやくやる)というのはあるが、

巧久(うまいが長引く)という例はまだない。

戦争が長引いて国家に利益があるというのは、あったためしがないのだ。

戦争は長引くと、人・組織はくたびれ、やる気・闘争心も薄れてきます。

国家財政的・経済的・物資的にも疲弊してきます。

これらの損害のほかに、第三国が漁夫の利を得ようと、干渉してくる危険もあり得ます。

これらの損害・危険をなるべく少なくするために、すばやく終わらせる必要があります。

拙速とはとにかく速ければ、いくらまずくても構わないという意味では勿論ありません。

最終的な目的を達成し、損害・危険を最小にしたいということなので、

それにかなうものでなければなりません。

安全・確実などの質を維持したうえで、さっさと行動して結果を得て、

すぐに次の場面へ移るということです。

短期で終わらせることで、

やる気・闘争心の減少という心理的損害、

食糧・武器・医薬品などの不足や国家財政の悪化などの物質的損害を

最小限にすることができます。

敵の反撃準備がそろう前に、あるいは第三国が干渉する前に、手を打つことで、

より損害・危険を少なくできます。

このような理由で速さを強調しているのであり、

まずいやり方はすべて許容されるわけではありません。

戦争は人間の死・国家の滅亡がかかっていることですから、

それに直接関わることは確実に行います。

しかし、例えば役所間・部署間の伝達・役割分担などの事務処理は、

人間の死・国家の滅亡には直接関わるわけではありません。

これらも配慮して根回し・説得・通知などを延々としていては、

以上の損害・危険が増すことになってしまいます。

これらは不完全でよい、というのが、「拙速」の「拙」の意味だと思います。

完璧主義だと失敗する・危険である、ということでしょうか。

目的を明確にし、それを達成するために何が重要で何がそうでないか判断します。

そして重要でないことにはあまりエネルギー・時間を注がないことです。

重要なものだけに焦点を当てることで速く結果を出すことができ、

こちらのダメージも少なくなります。

それにより節約できた時間・人的物質的資源をより有益なことに活用する、

ということではないかと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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