日本の特徴として、多様性があります。
諸外国は、国王~貴族~庶民などの権威権力体系が一つであることが多いですが、
日本は武家と公家の二つの体系があります。
諸外国では自分が国王というトップになろうとすることが多いですが、
日本では誰も天皇にとって代わろうとしません。
神と仏、きらびやか・やらわかさと荒々しさ、金ぴかとわびさび、かなと漢字、
東日本と西日本の違いなどいろいろな特徴があります。
それを取り上げてまとめてみました。
この記事の目次
1.神も仏もたくさん集まる
キリスト教の西洋やイスラム教圏は唯一絶対の一神教です。
対して日本は多くの神、多くの仏が存在します。
神は、
伊勢神宮などの天照大神、宇佐神宮・石清水八幡宮・鶴岡八幡宮などの八幡大神、
伏見稲荷大社の稲荷大神、太宰府天満宮・北野天満宮などの天神、…
仏は、教えを説く如来が釈迦如来・阿弥陀如来・大日如来など、
衆生に寄り添う菩薩が観音菩薩・地蔵菩薩・文殊菩薩など、
悪を懲らしめる明王が不動明王・愛染明王など。
2.誰も天皇に代わって国王になろうとしない
政治権力も分散しています。
諸外国は権力闘争で前政権を倒した者が皇帝・国王になります。
中国大陸では、元王朝を倒して明王朝、明王朝を倒して清王朝、…など
国・皇帝が入れ替わります。
米国では選挙により、トップである大統領が変わると閣僚や高級官僚も入れ替わります。
日本では、天皇は国家元首と位置付けられる(天皇は諸外国からはエンペラーとされます)
ものの、誰も天皇を倒して自分が国家元首となりたがらないのです。
平安時代の藤原氏は政治を動かすトップになるものの、
天皇を補佐する摂政・関白に任命されることを選びます。
徳川氏なども征夷大将軍に任じられることを望み、天皇にはなりません。
鎌倉時代の承久の乱で鎌倉幕府は上皇たちを島流しにしますが、殺害まではしていません。
天皇制も存続させます。
権威・日本のトップは天皇として残し、
天皇から関白や征夷大将軍、内閣総理大臣などとして任命されることで
政治権力を行使しようとします。
任命されなくても政治権力を行使できる実力があるのに、任命されるという形式をとります。
3.多くの権力が混在・最終決定者が不在?
一つの権力が存在するのではなく、多くの権力が並立してきました。
江戸幕府は最大の大名に過ぎず、全国に大名・藩という地方勢力が存在しました。
鎌倉時代も守護・地頭という地方勢力があり、
平安時代は地方は貴族・寺社の荘園がそれぞれ自治を行う状況でした。
中央集権国家と言われる明治以降の大日本帝国ですら、
内閣総理大臣は絶対的権力者ではなかったのです。
帝国議会・枢密院・政党・軍により簡単に辞職に追い込まれるし、
軍人が首相になっても、所属する陸軍などから辞職させられることまでありました。
現代日本も、国会・内閣・最高裁判所の三権に加えて
マスコミも第四の権力と呼ばれるぐらいで、
権力が分散しています。
江戸幕府も将軍が一人ですべて決定できるわけではなく、
数人の老中やその他幹部たちの意見を聞く必要がありました。
日本は独裁者が出にくい環境だったようです。
根回し・合議で決まり、明確な責任者というものが存在しない・しにくい環境です。
4.日本は実は単一民族ではない?
日本人は単一民族だといわれていますが、本当にそうでしょうか。
まず縄文人が東日本を中心に住んでいました。
縄文土器や狩猟採取を中心に生活していたようです。
その後に弥生人、大陸の江南地方からと言われていますが、
稲作を西日本に持ち込み東日本に広がります。
さらに古墳時代になると独特の服装・埴輪の人々が入ってきます。
ユダヤ人と言われている秦氏などです。
奈良の正倉院には古代ペルシャ・シルクロード由来の琵琶やガラスの壺が
収められていることから、物品だけでなく西方の人たちも日本に来ていたことでしょう。
縄文人・弥生人・朝鮮人・中国人に加えて
西域(ウイグルやインドやペルシャ、もしかするとローマ)で日本人が構成されたでしょう。
中国大陸では靴を履いたまま屋内に入りますが、
日本の家屋は、高床式で靴を脱いで床に上がります。
これはポリネシアや東南アジアの生活スタイルであり、
大昔に黒潮(日本海流)に乗って船で到来した人たちが伝えたのでしょう。
奈良・平安時代には今の中国東北部・朝鮮北部・ロシア沿海州に渤海という国があり、
日本海を渡って、津軽・秋田へ到来し、接待する施設が秋田城でした。
西の接待する役所が大宰府であり(福岡県)、北の役所が秋田城です。
渤海の使節たちは越(こし):北陸道(新潟県・富山県・石川県・福井県)を通り、
京の都へ入ったのです。
交易のために日本に来て住み着いた人たちもいることでしょう。
そういう人たちが東北を中心にいたと考えられます。
沖縄(琉球)の人たちのルーツも台湾・中国南部や東南アジアと考えられるし、
北海道にはアイヌと言われる人たちもいます。
たくさんのルーツがあるため、日本人は実は単一民族ではないのではないかと考えています。
5.東日本と西日本は別の国だった?
「古今東西」という言葉があります。
過去と現在、そして東日本と西日本と、時間と空間を対比させている言葉です。
前半は分かりますが、気になるのは後半です。
東日本と西日本は大きく異なります。
例を上げます。
東日本は「東」、西日本は「西」と略して表示します。
●東:そば、西:うどん
●麵の汁は、東:醤油(黒色)、西:出し汁(金色)
●餅の形は、東:四角、西:丸
●東:ばか/りこう、西:あほ/かしこ
●東:おととい、西:おとつい
●東:「~しない」「~しねえ」、西:「~せん」「~らん」「~せえへん」
●肉まんといえば、東:豚肉、西:牛肉
●歌舞伎は、東:隈取して激しい芸・睨む、西:穏やかな芸
●信仰される代表的な仏様は、東:荒々しい不動明王(成田・川崎・高幡)、西:観音
●武士団、東:陸上・馬、西:海上・瀬戸内・水軍
●交通手段、東:陸上、西:海運
●東:稲作中心、西:畑作中心
●貨幣、東:金(甲斐・佐渡・陸奥平泉)、西:銀(石見・生野)
東西に違いがある理由として、異なる国だったとの説があります。
東日本:日高見国
西日本:大和(倭国)
詳細はこちらをご覧ください。
6.真逆も多い~金ぴかもわびさびも素晴らしい
対比・真逆の性格の組み合わせが多くあります。
●金ぴかの金閣 vs 地味わびさびの銀閣
●複雑模様の縄文土器 vs 飾りのほとんどない弥生土器
●尾形光琳の金屏風 vs 水墨画
●江戸の隈取歌舞伎 vs 大阪の和事(恋愛など)歌舞伎
●激しい/日常を描く歌舞伎 vs 神霊を登場させる能楽
●和魂のアマテラス vs 荒魂のスサノオ
●大和言葉・ひらがな・カタカナ vs 漢語・漢字、OK!ON/OFFなどアルファベット
●木造家屋 vs 鉄筋コンクリート建造物
●和服 vs 洋服その他ファッション
●武士の権威体系(将軍・大名) vs 公家の権威体系(関白・大臣・納言)
●貧乏な大名・武士 vs 裕福な商家・町人
→諸外国は国王・貴族など支配層が裕福なことが多いが、日本はそうではない
7.なんでもあり?酒やうまい物に目がないが…
①禁止の食べ物がない
(ヒンズー教では牛肉、イスラム教では豚肉が禁止、中国人は生もの苦手)
そのため和食では刺身・うどんそば・すき焼き・豚生姜焼き・鍋物など肉魚介野菜など
幅広い食材を使用した料理が存在します。
中華料理・韓国料理・エスニック・西洋料理・インド料理・トルコ料理など
世界中の料理を取り入れます。
②祭り好き
日常生活を離れてハレの日ははしゃぐ大騒ぎするのが、古来の習慣でした。
ハレの日のために普段は頑張る・準備するというメリハリある生活でしたが、
今は世界中のイベント・フェスティバルを受け入れて自分たち好みの祭りにしています。
元々ハレの日は、大みそか・正月とお盆くらいしかありませんでした。
今では、節分・恵方巻・バレンタイン・花見・ゴールデンウィーク(こどもの日)・七夕・
月見・ハロウィーン・クリスマスなどなど増加傾向にあります。
「祭り好きな国民は、日本人だけではなく世界にもいるよ」と反論されますが、
日本人の場合は、神道・仏教だけでなく、キリスト教や道教など他国・他宗教の祭りまで
取り入れています。
③宗教はばらばら
よく指摘されることですが、
日本人は正月・七五三は神社に行き、結婚式は教会、葬式はお寺で行うなど、
宗教的に節操がないといわれます。
私見ですが、いろいろな民族が日本列島に住み着いて、
さまざまな文化・習慣が入ってきたために
さまざまな文化・食生活・習慣に慣れて、
新しもの好き?いろいろなものが好き?になったのではないかと考えています。
特定の宗教だけ進行する習慣が少ないようです。
飛鳥時代に仏教が伝来したときに、もともとあった神道(神社)と習合しました。
「神も仏も同じ」「輪廻転生でインドで生まれら仏、日本で生まれたら神」
という考えです。
神も仏もたくさんおり、神社も寺も宗派もたくさんあるため、
また特に奈良の東大寺や比叡山延暦寺はたくさんの僧侶が学び、法然・親鸞・日蓮など
新しい宗派を起こした僧侶の育ての寺がありました。
「みなつながっている」意識が強く特定の信仰だけとならないのではないかと思います。
「世界は一つの宗教を信じているのだから、日本人もそうすべき」
という考えもあるでしょうが、
そのような考えだからこそ、自分たちと違う信仰の人たちを悪と決めつけて攻撃する、
宗教戦争になるのです。
「一つだけが正しく、他は全部間違い」というのではなく、
「みんなそれでいい、ありのまま受け入れる」考えにより、
世界中の人々が幸せ平和に生きていけると考えます。
縁起の良い七福神は、
実は日本の神様は一人(正確には一柱と言いますが、一人で通します)だけです。
恵比寿さんです。
イザナギ命・イザナミ命夫婦の間に生まれた蛭子(ヒルコ)
または大国主命の息子、事代主命です。
他の6人の神は
●大黒天:インドのシヴァ神の化身マハーカーラで大国主命と習合
●毘沙門天:インドのクベーラ神
●弁財天:インドの神サラスヴァティー
●福禄寿:中国宋の道士天南星または道教の南極老人
●寿老人:中国道教の南極老人、白髭明神
●布袋尊:中国唐の禅僧、弥勒菩薩の化身
です。
渡来人の信仰していた外国の神々も受け入れて一緒に祀ることで、
渡来人と共存していくための知恵だったのでしょう。、
④酒など快楽好き
イスラム圏では飲酒は禁止されています。
キリスト教圏でも手放しで許容されているわけではありません。
例えば米国では州にもよるでしょうが、ドラッグストアなど一部の店でのみ売られています。
販売店やバーは許可エリアでのみ店を開くことができます。
屋外での飲酒は禁止です。
日本では、スーパー・コンビニ・自販機でも酒類が売られています。
住宅街にもあります。
屋外での飲酒も禁じられていません。(花見・道路沿いのオープンテラスなど)
外国人が外で酒飲めていることをアピールしている(?)SNS投稿すらあります。
それでいてアルコール中毒の日本人は少ないことにも驚かれているようです。
かつての日本ではハレの日(祭りの日)には羽目を外して
男女が入り乱れてセックスをすることもあったようです。
吉原のような文化もありました。
現代からは信じられない奇異な習慣・風習もあり、快楽は許容されていたようです。
それでいて規律正しい、列に並ぶ、他の人に譲る、時間厳守などの側面も持っています。
⑤凝り性・突き進む・オタク・極端
一途に突き進む・極める性格・特徴があります。
●日本文化の総まとめと言われる茶道
~ミニチュア化した小さな茶室・わびさびの質素さ・作法・大自然をぎゅっとまとめた庭園
●鎌倉武士のやりすぎ装備
~重装備(鉄製の鎧・兜)だが動きやすい&騎馬&遠くまで届く強力な弓矢
&両手で持ち相手をたたき切る刀&槍なぎなた
モンゴル(元軍)は革製の軽く動きやすい鎧&小さな弓矢
西欧の騎士は動きにくい甲冑に片手で持てる剣と盾
●鳥獣戯画・繊細な彫刻 → 江戸時代のからくり人形 → アニメ・フィギュア
●戦国 → 平和ボケの江戸時代 → 幕末の大騒ぎ・暗殺横行・内戦
→ 米英仏露中など強国大国を相手に戦争 → 平和ボケの現代
●過労死するほど働く・記憶をなくすほど酒を飲む
●十倍の兵力差の敵に立ち向かう勇敢さと向こう見ずさ
●敗戦で焼け野原になっても20年でビル街・新幹線・東京タワーを作る不撓不屈
●ムラ意識仲間内ではチームワークあるが、他の組織を敵視しがち
~太平洋戦争時、海軍は戦艦など多く持ちながら、陸軍の輸送船を護衛することが少なく、
米軍に撃沈され損害が多くなったため、「陸軍が輸送用の潜水艦を建造」という
世界の軍事史でも珍しい「陸軍の潜水艦」が出来上がった
●ドイツ軍は独ソ戦での陸軍・空軍の連携、米軍も陸海空軍海兵隊の連携があったのに…
●兵站(ロジスティックス)の考えが希薄で、準備補給を考えずに突き進んでしまう
●一途になったら周りが見えなくなってしまう
●仲間内でも足の引っ張り合いなど嫉妬が他国民より強いと思われ「出る杭は打たれる」
●島国根性と言われるが、国土の7割が山地のため、山間根性とも言え、視野が狭い、
全体を俯瞰して合理的能率的に考えるのは苦手のよう
●農耕文化のため仲間内で調整し共同歩調は得意だが、
狩猟民族のように仲間を率いて狩猟など目標達成や外敵排除などリーダーシップは苦手
最後までお読みいただき、ありがとうございました。