こんにちは、古神道と風水の研究家ヒデです。
平成から令和へと時代が変わりました。
皇居や即位・三種の神器に注目が集まっているので、
これらについて解説します。
この記事の目次
1.天皇とは
①政治権力者ではない
天皇は、国王や皇帝のような存在とされることが多いようです。
天皇の英語訳もエンペラーです。
しかし古代から政治権力者だった時期は短いです。
大和朝廷は豪族たちの合議体で、
天皇(大王)は取りまとめ役だったようです。
リーダーシップをとった、
天智天皇や天武天皇、桓武天皇、後醍醐天皇の時代も
そう長く続きませんでした。
政治権力を握っていたのは、
●古代~蘇我氏や藤原氏(摂関政治)、上皇や法皇(院政)、平氏
●中世~鎌倉幕府(北条氏)、室町幕府(足利氏)、各戦国大名
●近世~織田・豊臣・徳川
●近代~明治政府、軍部
●現代~政府(内閣)
②祭司長である
古代から一貫しているのは、祭司長としての地位です。
神社には神様に使える神職がいますが、
神職の最も上に立つのが天皇です。
日本の総氏神の天照大御神にお仕えし、神々に感謝し、
日本だけでなく世界中の人々の幸せと世の中の平安を、
お祈りされます。
この皇室祭祀を行われる場所が、
皇居内の宮中三殿と神嘉殿、
皇居外の歴代天皇の山稜です。
2.皇居とは
皇居には
●宮殿~天皇陛下が公務を行われる、首相や外国元首・大使と接見される
●御所~天皇陛下のお住まい
●宮中三殿など~宮中祭祀を行う、神社のような場所
があります。
写真中央部、同じような建物が三つ並んでいます。
それが宮中三殿です。
左から皇霊殿、賢所、神殿です。
宮内庁提供写真です。
●賢所~皇室の祖先神天照大神を祀る
●皇霊殿~歴代天皇、皇后、皇族の御霊を祀る
●神殿~天神地祇八百万の神を祀る
宮中三殿の左にやや大きな横向きの建物があります。
これが神嘉殿(しんかでん)です。
毎年の収穫を感謝するお祭り、新嘗祭を行う建物です。
3.三種の神器とは
三種の神器は歴代の天皇が継承されます。
●八咫(やた)の鏡~伊勢神宮内宮
●八坂瓊曲玉(やさかにのまがたま)・八尺勾玉~宮中
●天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)・草薙剣(くさなぎのつるぎ)~熱田神宮
今は神器は五つあり、その理由も以下に書きます。
由来は記紀神話などに書かれています。
①鏡と勾玉
天照大御神が天岩戸にお隠れになったときに、
外に出ていただくために用いられました。
岩戸の前に榊(さかき)を立て、これに勾玉や鏡、紙垂(しで)をつけ、
かがり火をたかせて、天宇受売命(アメノウズメノミコト)が踊りました。
神々の楽しそうな声に天照大神は岩戸を開け、顔をのぞかせます。
自らの光が鏡に反射し、さらに前に出たところを手力男命(アメノタヂカラオノミコト)が
手を引いて岩戸の外にお連れすることに成功しました。
光が満ちて平和な社会がよみがえりました。
②剣
スサノオ命がヤマタノオロチを退治し、その尾を割くと剣が現れました。
これを天照大御神に献上されたのです。
③三種の神器と天孫降臨
大国主命は天照大御神に国土を譲ります。
天照大御神の天孫、ホノニニギノ命が天降ります。
稲穂がたくさん実るという意味のお名前です。
その際に天照大御神から三種の神器を手渡されます。
天照大御神は、鏡を私だと思ってあなたが住まう宮殿でお祀りしなさい、
と伝えました。
同床共殿の神勅といいます。
三代経て神武天皇が初代天皇として即位されました。
ここまでは、三種の神器は三つのみです。
④三種の神器の写し
第十代崇神天皇の時代に疫病が蔓延します。
この原因を、鏡の威力によるものと恐れた崇神天皇は、
鏡を皇居の外、大和笠縫邑(かさぬいむら)で
お祀りすることにしました。
今の奈良県三輪山のふもと、桧原神社です。
このとき鏡と剣の写しを作らせ、
これらは宮中にとどめ置かれ、お祭りも継続されました。
⑤鏡は伊勢神宮へ
第十一代垂仁天皇の時代に、
笠縫邑に祀られていた鏡は皇女・倭姫命(ヤマトヒメノミコト)によって
伊勢神宮(内宮)でお祀りされるようになりました。
⑥剣は熱田神宮へ
第十二代景行天皇の時代に、
天皇から東国制定を命ぜられた皇子・日本武尊は、
守護を祈願しに伊勢神宮に立ち寄った際に、
倭姫命から剣(写しではない方)は日本武尊に手渡されます。
無事に東国を平定した日本武尊は、
尾張(名古屋付近)で豪族の娘ミヤズ姫と結婚されます。
剣を屋敷に置いたまま、伊吹山の神を打ち取りに出かけるのですが、
亡くなってしまいます。
その後剣はミヤズ姫によって
熱田神宮でお祀りされるようになりました。
⑦宮中での三種神器
鏡の分身は、宮中三殿の賢所でお祀りされています。
天照大御神の御言葉通り、
鏡は皇居内で大切にお祭りされています。
剣の分身と勾玉は剣璽といい、
皇位継承の証です。
お祀りの対象とはせず、
天皇のお住まいに安置されてきました。
天皇陛下が旅行などで移動されるときは、
剣璽も一緒に移動します。
剣璽動座といいます。
4.天皇即位の流れ
令和元年五月一日は今上天皇陛下即位の日でした。
①五月一日の即位礼(践祚~せんそ)
午前中に執り行われた剣璽等承継の儀では、
上皇から剣と勾玉を引き継ぐ儀式で、
これにより天皇即位となります。
一日たりとも皇位が空白であってはなりません。
天皇陛下の印である「御璽」、
日本国の印である「国璽」
を継承されます。
宮中三殿の賢所では「賢所の儀」、
皇祖天照大御神に皇位を継承したことの報告です。
そして歴代天皇や皇族、神々への報告である、
「皇霊殿神殿に奉告の儀」が行われます。
今上天皇陛下が神話以来の伝統を継承する儀式です。
その後「即位後朝見の儀」が行われます。
内閣総理大臣他三権の長、地方公共団体の代表に対して
皇位につかれたことを宣言する儀式です。
②十月二十二日の即位礼正殿の儀
10月22日に即位を内外に宣言する「即位礼正殿の儀」が行われます。
11月14‐15日に大嘗祭が行われます。
③十一月十四日の大嘗祭
大嘗祭については別記事で解説します。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。