こんにちは、古神道と東洋思想、兵学の研究家ヒデです。
勝ちやすくなるまで待つ忍耐力を書きます。
「よく戦う者はまず勝つべからざるをなして、以て敵の勝つべきをなす。
勝つべからざるは己にあるも、勝つべきは敵にあり。
故によく戦う者はよく勝つべからざるをなすも、敵をして勝つべからしむるなり。
…
勝つべからざる者は守なり、勝つべき者は攻なり。
守はすなわち足らざればなり、攻はすなわち余りあればなり。
よく守る者は九地の下にかくれ、よく攻むる者は九天の上に動く。」(第四 形篇)
戦いに巧みな人は、味方を固めて誰もうち勝つことができない態勢を整えたうえで、
敵が弱点をあらわして誰もがうち勝てるような態勢になるのを待った。
前者は味方の事情であるが、後者は敵側の事情である。
だから、戦いに巧みな人でも、
味方を固めて誰もうち勝つことができない態勢を整えることはできるが、
敵が弱点をあらわして誰もがうち勝てるような態勢にさせることはできない。
…
誰にもうち勝てない態勢とは守備に関わることであり、
誰でもがうち勝てる態勢とは、攻撃に関わることである。
守備をするのは戦力が足りないからであり、
攻撃をするのは十分の余裕があるからである。
守備の上手な人は大地の底にひそみ隠れ、
攻撃の上手な人は天界の上で行動する。
という意味です。
戦争は、人の生死を左右することです。
古代では負けた国の民は皆殺しになるか、奴隷にされました。
現代でも強制収容所に連行されて多数の死者を出すこともあります。
国土が焼け野原になり、食料や薬もなくて餓死・病死したりします。
ですから、慎重に慎重を重ねて、必ず勝てる、もしくは勝ちやすい状態にしてから、
戦争を起こすのです。
血気はやらず、勝ちやすい状態になるまで我慢して待つのです。
これは孫子の大原則といえます。
このことから孫子でいう戦いの上手な人とは、
勝ち目が薄いのであれば、逃げたり隠れたりするのがうまく、
逆に勝ちやすいのであれば、縦横無尽に思い切った行動をすることがうまい人です。
「がんばればなんとかなる」という精神論であっては、
貴重な生命・人材・財産などを浪費してしまうのです。
「名人に名手なし」という言葉もあります。
当たり前なことをしっかりやっていれば、
あえて奇策をとることなく、安心して楽に自分の望む結果が得られるのです。
当たり前のことをしっかりやっていないから苦境に陥ってしまい、
あたふたと奇策はないかと探し回った挙句、失敗してしまうのです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。