神社の原型~天と地をつなぐ柱が、神籬や巨石の磐座~奥宮がある理由

こんにちは、古神道と風水の研究家ヒデです。

鏡が円形であること、山頂の巨大な磐座について説明します。

この記事の目次




1.鏡は太陽・月・星

古代人は、

毎日出てくる丸いきれいな真紅の太陽と

真っ白な真澄のような月。

これらに対する畏敬の念がありました。

太陽は熱と光を与えてくれ、

寒さから私たち人間を守り、

雪や氷を溶かして水を作り、

稲など植物を育てて私たちを養ってくれます。

月も29~30日という周期で見え方が変わり、

暦を知ることができ、

干満で魚介類を採取できるなど、

たくさんの恩恵をもたらしてくれます。

この丸くて輝く太陽と月を地上に表現したのが、鏡です。

伊勢神宮内宮では太陽の神・天照大御神をお祀りしていますが、

そのご神体は八咫の鏡です。

伊勢神宮に限らず、神社の社殿でのご神体は、

鏡であることが多いですが、日月星への畏敬によります。

身近な神社に「天」を見ている・作っているのです。

また鏡はすべてのものをそのまま写しだします。

暗い顔をしていれば暗い顔のまま写し、

にこやかな顔はにこやかな顔のまま写しだします。

鏡を見ることで自らを省みるのです。

この鏡への拝礼が古代から宮中では行われており、

御鏡御拝(みかがみぎょはい)と言います。

2.神籬(ひもろぎ)が神社の原型

大いなる力を持つ天、そして地球という大地とをつなげる柱を立てました。

これが神社の原型である「神籬(ひもろぎ)」です。

真ん中に常緑樹の榊を立てて、注連縄・紙垂で四角に結界を張ります。

今も地鎮祭で見られる祭壇が、神籬です。

「ひもろぎ」というのは、

「霊天降る樹(ひあもるき)」という言葉が縮まったとされます。

古代日本語では、日・霊・火・氷もみな「ひ」と読みます。

天の神々の霊が地上に降りてこられる聖なる場所を「ひもろぎ」と言いました。

縄文時代や古代は、屋外で神々をお祀りしていました。

それが建物を建ててその中に祭壇を設置し、

お祀りするようになりました。

これが神社の社殿です。

3.神々の降臨する山

特に天に向かってそびえたつ円錐形の美しい山を、

神々の降臨する神の山として信仰しました。

木の神籬は天に向かってそびえたつ柱ですが、

山は土または岩の神籬の柱です。

柱に神々が降り立つので、

神々を数える単位は、一柱、二柱、三柱、…です。

これは群馬県の榛名山です。

富士山や三輪山など全国にあります。

日本だけでなく、インドの須弥山など、

山に対する信仰は世界各地にあります。

下の画像は京都の上賀茂神社です。

細殿(拝殿)前に砂で作った円錐形の山が2つあります。

立砂と言いますが、神体山の神山(こうやま)を模したものとされます。

鬼門にまく清めの砂の起源ともされます。

4.山頂にこんなに大きな磐座(いわくら)

今から1万年前の縄文時代の人々は、

そういう山に大きな岩の柱を築きました。

磐座(いわくら)といいます。

神を天上からお迎えする場所です。

このような磐座は全国各地にあります。

山梨県では富士山に次ぐ2番目に高い金峰山があります。

その山頂にある五丈岩は、その名の通り五丈(16メートル)の高さの岩です。

近くの金櫻神社のご神体・磐座です。

五丈岩は溶岩で出来た花崗岩で、

自然にできたとも人工的に作られたともいわれています。

岩が四角に組み上がっているようにも見えます。

このような大きく重い岩をどうやって組み上げたのでしょう。

リュック背負って急斜面をはいつくばって登る、そんな山ですが、

岩も外から持ってきたのでしょうか、謎です。

このような山・磐座は日本中至る所にあります。

金峰山となりの瑞牆(みずがき)山、

島根県の神魂神社・熊野大社の奥宮磐座、

広島県の厳島神社の奥宮である弥山山頂の磐座群。

祭祀を行うため、山頂に広場を作ったのでしょうか?

岩同士が組み上げられており、くぐることができます。

何十トンもある岩をどうやって組み上げたのでしょう?

自然にこうなるものでしょうか?

そのほかにも

広島県庄原市の葦嶽山、

岡山県の鬼ノ城磐座、

兵庫県の六甲山や千が峰の磐座、

和歌山県新宮市の神倉山の磐座。

熊野大神が初めて降り立った場所とされます。

世界にはいまだに謎とされる巨石文化が多く存在しています。

イギリスのストーンヘンジやマヤ文明のピラミッド神殿は

太陽観測の施設のようです。

日本古代の磐座も巨石文化の一つです。

磐座の場合は用途がはっきりしています。

宇宙・天の神々をお迎えする場所として

磐座が作られたということです。

この磐座で祭祀を執り行っていたのです。

5.なぜ奥宮と里宮があるのか

奥宮と里宮という言葉を聞いたこと・見たことはありませんか?

本来は山の上・磐座で神々をお迎えしてお祀りしていました。

しかし常に山の上まで行くのは不便ということで、

山のふもとに神社を置くようになりました。

山の上のもともとの神社を奥宮、

ふもとの神社を里宮、といいます。

ですから山の上にある神社の方が、

本来の神社・古い神社ということになります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。




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