こんにちは、古神道と東洋思想、兵学の研究家ヒデです。
前回に続き、具体例をあげます。
戦わずして勝つとは、
例えば、敵国と交渉をし、
他方では敵国の同盟国にその敵国を説得してくれるよう頼み、
あるいは同盟を解消するよう説得します。
さらにこちらに味方してくれる同盟国を作り、
そのほかの国に対しては最低でも中立に立ってくれるようにします。
こちらに味方を多くし敵を丸裸にすることができれば、
敵も攻めにくくなり、こちらの主張を通しやすくなります。
やむを得ず戦争をしなければならなくなったとしても、
味方の援助を受けられるようにし、敵国に味方する国を少なくできれば、
楽に勝ちやすくなります。
例えば、日露戦争時の日本は日英同盟で当時最強の海軍国イギリスを同盟国にし、
資金等の物質的援助を受けることができました。
またロシア・バルティック艦隊が
最短コースであるエジプト・スエズ運河を通れないようにしてくれました。
米国も日本に好意的でした。
これに対して太平洋戦争時は、太平洋地域では周りをすべて敵に回してしまいました…
敵国内の反対勢力・反体制活動家を味方につけて内側からもかき回せば、
敵は戦争しにくくなり、より勝ちやすくなります。
日露戦争時の明石元二郎陸軍大佐が、
レーニンらに資金援助をしてロシア革命支援工作をおこない、
ロシア帝国は戦争継続しにくくなったことが、その例です。
以上のことは、
「上兵は謀を伐つ。その次は交を伐つ。
…善く兵を用いる者は、人の兵を屈するもしかも戦うにあらざるなり」(第三 謀攻編)
…「最も良いのは敵の謀略を破ることである。
その次によいのは敵とその同盟国の結びつきを破ることである。
…戦わないで敵を屈服させ勝つのである」、に表されています。
このように、戦争準備をし、和平交渉、同盟・協力関係を結び、敵の内部かく乱工作もし、
あらゆることをします。
相手が戦争できない状態に陥れ、
あるいは戦争しにくい状態にして、こちらが勝ちやすいようにして勝つのです。
表で目立つ戦争(戦闘)だけに目を向けてはいけないのです。
日露戦争では、外交も内部かく乱も国力を蓄えることもよくできていました。
太平洋戦争では、日中戦争で疲弊していたのに戦争突入したもので、
以上のことができていなかったように思います。
有利に勝つために、日頃からいざという時のためのあらゆる選択肢を確保しておきます。
実力をつけ、同盟者をつくり、協力者や理解してくれる者を増やします。
相手を動揺させるための材料も用意しておきます。
こちらが多くの手を持っていてそれだけでも有利であり、
またどの手を打ってくるか敵には判断しにくいので、
迂闊に手を出してくることはできなくなります。
こうなると無言の圧力で敵を屈することができます。
家族・友人・近所の人の生死・生活がかかっており、
外交・策略で戦争を早く終わらせることができれば
敵味方ともに悲劇・苦しみを最小限にすることができます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。